劇団四季のオペラ座の怪人は新しくなっていた

劇団四季劇場前の風景 感想
劇場棟の前でピクニック気分が味わえます

4月24日土曜日に「オペラ座の怪人」JR東日本四季劇場[秋]13時の回を観劇しました。しばらくは大きな商業施設が閉まる期間に突入します。もともと久しぶりの「オペラ座」ですから、冒頭カルロッタが「第三幕の素晴らしいアリア」を歌うところからもう感激で涙が出ました。カルロッタでもクリスティーヌでもどちらが歌おうが良い曲は良いなありがとう音楽の天使!って感じでした。

わたしが最後に見たのは随分昔なので、変更されたセリフ・歌詞などが新鮮でした。演出の見直しがあったそうで、4月の観劇者に特典として送られるオフステージトーク動画で怪人役の佐野正幸氏が「改定版と言ってもいいくらい」だ、とおっしゃっていました。セリフの言い方も変わっていて前よりも現世感がなく、19世紀のパリ感を醸し出していました。特に冒頭のオークションが静かーに厳かに進行する様子がワクワク感を増加させます。

以前から、イェストン版「ファントム」では、クリスティーヌが怪人に対して、明らかに心を開いているのに対し、ロイド・ウェバー版の世界観のクリスティーヌは違うな、と思っていたのですが、今回の観劇で、ある歌詞が耳にとまりました。

「♪悲しみに満ち溢れて、憧れを宿していた

このメロディーが物悲しいのもあって、今回ぐぐっときました。

怪人が地下へとクリスティーヌをいざない「秘かに美しいものに焦がれている」と訴えかけますが、彼女が無事生還したあと、怖かったで終わらず、反芻しているんですね。よく考えてみたら、あの人悲しみを抱えていたけど、憧れ、も持っていた、と。そして、それを幼馴染で恋人のラウルに話すわけです。慈悲がほとんどであるクリスティーヌの怪人への感情ですが、その慈悲は思ったより早い段階で生まれていた。

「オペラ座の怪人」の怪人は情けない存在です。口がゆがんでいるように見せるメイクと、劇中劇の最後に人の前に正体をさらす目的で、クリスティーヌが怪人のマントをはぐと、ぱっさぱっさの抜けかけた髪のある頭。

このあたりから、この哀れな存在の愛の結末を、観客は息を凝らして嗚咽とともに見守ることとなります。 😭😭😭😭😭😭😭

ただでさえ哀しい存在なのに、彼ははっきりとクリスティーヌから振られてしまう。自分にないものを求めてクリスティーヌを操ろうとしたり懇願してみたり、、手を尽くしたけれど他の人と永遠の愛を誓われてしまうという、まー悲しく腹立たしい展開に追い込まれる。

ウェディングベールを、ほらつけろ!みたいにクリスティーヌの頭に乗せて指輪をはめさせ、、、哀しすぎるでしょー。

さわやかラウルと不気味な怪人との対比を大きく表現できると、制作側としては成功でしょうね。

24日ラウルを演じていらしたのは、長身の光田健一さんという韓国出身の方でした。クリスティーヌ役の山本紗衣さんの可愛らしさが引き立つ配役。

怪人に圧倒的不利な状況を作り出していました。怪人役の岩城雄太さんも素晴らしかったですが、声質にラウルとの対比が少なかったので、そこは残念でした。ロイド・ウェバー版の怪人は威圧的だし、オペラ1曲書き上げて分厚い楽譜持って現れたり、職人肌なところが強調されているので、声ももう少し威厳ある感じが望まれるところでした。

虚構は少ないほうが好き、SFやファンタジーはあんまり受け付けないし、ミュージカルも嫌いみたいな友人に、2004年映画版の公開直後にオペラ座の怪人について、ランチしながら話した記憶があります。

人の好みはそれぞれですが、パリの劇場の地下に存在する不気味な空間で起こりえる事件という意味で、虚構少な目と思って見てみてもいいのにな、と感じたので(映画見たあとの興奮も手伝い)、

白黒から始まって、劇場のシャンデリアがオークションに出されるわけよ、で、シャンデリアは修復されてるので、明かりはつきますよ、ってな感じでシャンデリアが披露される、で、それをきっかけに、ばーーん!!ばばばばばーーん、ばばばばばーーーん!!!!って音楽が始まって物語の時代が巻き戻って画面がだんだんカラーになっていくわけよ、、カメラは劇場の内部に入り楽屋をなめていき……と、語ったのですが、彼女の心は動きませんでした。。。。。。でも、北京で雑技団を見て感心していたので、舞台機構がゴージャスでシャンデリア上がったり下がったりする舞台版なら楽しめるかもしれません。

観劇後の特典映像で語られる新演出ですが、リモート稽古で行われたそうです。演出家がニューヨーク、振付師はロンドンと、3つの時間帯を考慮して約1ヵ月行われたのだとか。どの参加者も一定のリモート会議疲れはあったでしょうねー。😅😅😅

プログラムには、手にキスをするときはもっとゆっくりと、という指示があったと書かれていたので、1988年初演時の動画を見たら、あら、ほんとにちゃっちゃっと済ませてますわ。

日本での初演1988年4月29日から33年を経て、「劇団四季のオペラ座の怪人は凄いらしい。」ではなく「劇団四季のオペラ座の怪人は新しくなったらしい。」という感じでした。

(4月28日~5月11日休演)

10月1日追記:東京での公演が2022年1月10日に千秋楽を迎えます。お急ぎください!大阪四季劇場での開幕は、2022年3月6日(日曜日)です!

佐野さん版を観劇して感情はいよいよ佳境へ↓↓

こちらはアダルティーな怪人ね💖

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