ミュージカル・キネマというサブタイトルに相応しいこの作品、観てきましたよー。原作の映画に関する情報、スカイステージで放送されるダイジェストなどに目を塞ぎ、耳を塞ぎ、初遠征して、れこうみのお披露目公演を目に焼き付けました。
同じだけど違う
いつものように、れこうみとはこういうもの、というイメージを持って劇場に行くわけですが、想像のうえをいく新トップコンビでした。
れいこさんこと月城かなと氏がなんだか雪/月総合パッションみたいなものを押し出しているのはわかる。その快晴の空のように突き抜けていて、ねっとりしていない歌唱に対し、ひやーーーああーお声+歌が完璧!と一旦思ったあとに、ふと気付くと海乃美月嬢に目を奪われているという。。。
さすが、「どちらかが良く見えてもダメだし、ふたりでいることが良くないとダメだよね」(スカイステージのトップスターロングインタビュー#35より)という話し合いなどを通じて、トップコンビとしての在り方を模索しただけのことはある!
共演が多かったれこうみがトップコンビとしての新鮮味を見せるには、共演の少なかった同士の組み合わせよりは工夫が必要かと思われましたが、そんなことはなかったね。何役同じような役を同じような面子でやっても同じにならないのが宝塚歌劇団、特に巧みな組や巧みなジェンヌのさんの場合は、なのでした。
れこうみが共演してきたのは、「THE LAST PARTY」「ダル・レークの恋」「川霧の橋」と極端な悲恋というベクトルが同じでした。お披露目公演である「今夜、ロマンス劇場で」を観劇するにあたり、うっすら脳内にそれら悲恋の残像があったけれど、海乃美月は、いままでとはだいぶ違うヒロインだった。
初日からおとなしげなトップ娘役が(とある事情により)トップスターをしもべ扱いしたり2番手の鳳月杏氏をはたいたりする様子にファンは湧いていました。娘役が強いのはウケがいい。娘役は守られるべき対象だけでなく、トップスターの放つ光に負けずに強く輝く存在であるべきだからです!
鳳月杏氏演じる俊藤龍之介も、いままでちなつさんが演じてきた似たようなイケメンであるのにちゃんと違っていました。60年代風というか、今のスターではなくて当時の「スタア」であるオーラと情緒が感じられた。
幕開きすぐに釘付けになったのは、千海華蘭先輩の成瀬社長。いつものようにキラキラのからん先輩なのに、ちゃんと年齢高めのお偉いさんの歩き方や雰囲気なの。(社長令嬢の塔子を演じた彩みちる嬢との小芝居が気になって気になって、、、でも他の巧みな小芝居と同様、主要キャストのお芝居は決して邪魔せずに雰囲気だけ漂わせる小芝居が繰り広げられていました)
前述のれいこさんのロングインタビューは、さらっとした内容だった印象なのですが、それはさらっとすごいことをおっしゃっていたからなんですね。
「ふたりで良く見えないと」もそうだし、「日常的な会話が多いので、それを本当に身をもって言えるか、そのセリフの字面以上の意味がそこにあるように感じさせるか、っていうところに月組として挑戦したいな、と思ったので…」という核心をついたコメントがありました。
「日常的な会話だからこそ、みなさまにも経験があること……感情のウソはお客さまにもバレてしまうよ、っていうところを下級生とかにもはなしたりとかしました」とも。
実際に、牧野健司という役は、時代は少しさかのぼるけれども、日本人で年齢もちょうど演じている人々くらいの、まさに等身大の青年の役。
お姫さまである美雪(海乃美月)に対してのセリフが、ですます調で、普段ちょっと距離のある人にはみんながああいうふうにしゃべっている、という感じのセリフ回し。そこにはなんの詩的な要素もなくて、まさに等身大の役だなー、と真っ先に感じたのです。
トップスターインタビューで作品への取り組みが語られたことで、そこがこの作品のキモであり楽しさであり難しいところでもあったのか、と後から思いました。「セリフの字面以上」というのが完璧にできていて「挑戦したいな」どころじゃないよ、とも思いましたが。
普通の会話という意味では第16場もそうです。違いは、込められた感情の総量と声量。あんなに声量のあるれいこさんが、声量を絞って語る内容…Twitter上でファンの方が、ラジオドラマで聞いても泣くだろう、とおっしゃっていました。
実際舞台上に動きはそれほどない。(ここでもうみちゃんが素敵な衣装なので、あら、キレイと思って雑念が入りましたが)どんな展開になるのかと、じっと聞き入る編集J。声だけで、セリフだけで、こんなに感動したことあったろうか、という。。。
この作品、原作の映画を見ていない方は、ぜひ予備知識を入れずに観劇されることをおすすめいたします!編集Jは、第1場をなんの疑問もなく聞いてしまい、第16場でピーンと音が頭の中でなるまで、どうなるんやろーどうなるんやろー、と無邪気に観劇できました。
「今夜、ロマンス劇場で」は2018年作品「カンパニー」の系譜とも言うべき月組にピッタリな作品。わちゃわちゃするのにうるさくないのは、団体芸の極み。新トップコンビの盤石ぶりも、わかってはいたけどやはり目の当たりにすると、すごいものがありました。
月組の演目は、「川霧の橋」「Dream Chaser」「LOVE AND ALL THAT JAZZ」「桜嵐記」「幽霊刑事」など情緒がちょっと乱される作品が続いたので、このへんで全うされた愛のすがた、魂のフルスウィング!な「FULL SWING」と、ハッピーな2作品がとてもありがたかったです。(ピガール狂騒曲をリピートしすぎて、家人の手前、再生しずらくなっていたところ、、、)
れこうみの始動としても、今後にとても期待が持てるお芝居とショーでした。れこうみはあんな役をやらせてみたい、こんな役はどうか、と思えるコンビですが、正直、うみちゃんの可動領域はそう広くないかな、と思っていたけど、いや、なんでもいける!!
2022年3月1日追記:
富山県氷見市出身の海乃美月が、3月31日付けで「氷見市きときと魚大使」に就任する、とのニュースが歌劇団ウェブに掲載されました!問い合わせ先として、氷見市産業振興部観光交流課とあります。
“きときと”とは、新鮮とか精力的、っていう意味だそうですよ。ぴちぴちに近いのかしらん?偉大な海ちゃんを輩出した土地ですもの、聖地巡礼したいくらい。産業振興・観光・交流頑張ってください~!(何目線だろう?)
🐡🐡🐡
2回目↓



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