珠城りょうさまの退団の日まで、折り返し地点を過ぎ、後半戦に突入しました。7月31日土曜日のマチネ公演を上手よりのセンターで観劇することができました。(どなかたが、生徒さんに2回公演3日連続をさせないでほしい、というツイートされていましたが、公演の前半のまだ体力がありそうなときに3日連続があるんですね。ここからは、今日・明日、そして8月10・11日の2回、昼夜連続2日があります。なんとか乗り切っていただきたい😭😭😭)
こんな和ものなら毎日見たい
薄っぺらい情緒ゆえ、和ものの良さを理解していなかった編集Jですが、桜嵐記を観劇して、その様式美が心に染みわたりました。
宝塚舞台の様式美は、もともと歌舞伎の所作をベースにした演技で時代劇スターになった長谷川一夫氏に「ベルサイユのばら」初演時の演出をお願いしたり、東宝歌舞伎(1955~1983年)という大衆演劇を東京宝塚劇場を中心に上演したりといった歴史があって根付いたものです。歌舞伎とミュージカルの融合みたいな和ものに、その様式が使用されて良いものができないはずもない。ということがわからなかった、それを、桜嵐記で気付かされました。
桜嵐記は、演出の上田久美子先生が、声色やセリフまわしに至るまで宝塚の伝統的な和ものの世界観に沿うことを意図として創りだした作品であるらしいのです。歌詞が現代人にもわかりやすくなっている点と、盆を回して素早く場面展開するなどの技法以外は、物語、セリフ、登場人物の感情の出し方、歌舞伎調のセット、群舞に至るまで動く歴史絵巻そのものです。
歴史の一部を舞台上に展開できるなら、そしてそれを完璧にできる珠城りょう&美園さくら率いる月組がいるなら、やらない理由がない!
和ものにないと思っていた表面上の派手さみたいなものは、美しい所作、弓や刀さばき、粛然とした舞にとって代わり、ずしーんと腹に響くような感動を味わいました。
特にダンスに関しては、重心の低い日舞的な動きが静の美の象徴のように見えました。舞も静なら、声高に愛を叫んだりしないが滔滔と流れる感情も静かで深く、それだけこちらに伝わる感動も深い。
南北朝時代の武将、楠木正成の3兄弟が、勝ち目のない戦に臨んだようすを舞台にしたこの作品を観劇する人々は、すべからく、楠木家とともに時代を生きた人々の末裔です。登場人物たちのような国を想って行動した人々の恩恵を受けて、現在、生きていけているのです。。
普通の演目でも普遍的なテーマであると感情移入しやすいのですが、桜嵐記は自分ごとの最たるものですね。主人公楠木正行(珠城りょう)が、自分の命を「大きな時の流れに捧げる」と宣言するとき、自分の人生も悔いなく生きなければ、とさえ思う。この作品に流れる美学は、どうしても日本人の感性を持ってしてのみつくられ、演じられ、鑑賞され得るものに思えます。
登場人物は、一度忠誠を誓ったからには南朝を見捨てられない、という価値観のみでない、言い表すことができない指針を持っているわけで、日本人であれば理解できる気がします。自己犠牲とか正義感みたいなわかりやすい動機でないからより人間として悩み、行く手に暗雲が立ち込めても敢えて突き進むほどの信念となっている。理解できるから、観客はすがすがしい涙を流せるのだと思います。(じゃないと、負け戦する意味あんの?みたいに置いてきぼりにされてしまうのでは?)
東京にきてから月組のお芝居がさらに熟したようですが、確かに演出意図から少し一人歩きして個の感情みたいなものがより見える気がしました。楠木3兄弟の長弟正時(鳳月杏)に妻がいて、その父親が寝返ったため妻が敵となってしまう部分は、40代の上田先生の理想みたいなものが見え隠れします。本来なら、淡々と演じるべきところ、鳳月杏&海乃美月という役者をしてより鮮明に夫婦愛を描き出してしまった。(嬉しい誤算)
珠城りょうの正行も、四条畷の戦のあと消えゆく命を最後に燃やす様子が、ついつい熱が入ってしまった感じにも。どちらも、月組×演出家上田久美子の化学反応の賜物でしょう。
情感たっぷりのダンス
ショーの「Dream Chaser」の印象で変わった点は、これはもはやダンスショーだ、ということ。それも、さまざまな振付をぱきっとキレだけでこなすこともできるのに、情感がたっぷり入っている。楽しげな音楽ばかりなのに、ちょっと湿気を感じるくらい。

特に、夏月都、白雪さち花お姉さまたちをはじめ、楓ゆき、晴音アキ、夏風季々、結愛かれんといった中堅娘役さんたちの力強いダンスが眼福。海乃美月や夢奈瑠音といったダンスの達人の余裕、みたいなものも伝わってきます。
海ちゃんのような可憐な娘役さんが、こぶしにぎったような振付を力強く踊っている様子は萌えます。やはり技術だけでない踊り心、芝居心をたっぷりお持ちの娘役さんだなー、と。
それに加えて、珠さまやありちゃん(暁千星)が音もたてずにブンブン回る、めくるめく世界!ショー作品として、押さえるところを押さえてなおちょっとしたひっかかりみたいなものもちゃんと残ります。
今回座った位置的に、蘭世惠翔嬢on銀橋が真ん前で。艶やかなお姿で、ブルブル揺れるやつ(伝わる?)を目の前で見られて感激でした。
歌に関しては、風間柚乃氏の高音の伸びやかなこと!月城かなと氏の歌う場面はすべて口パク並みの安定感でした。ただ、お痩せになっていて、、あー、それは珠さまもですけど。😭😭😭😭😭😭😭😭😭
数日前に、美園さくら嬢がどこかを痛めたらしく、蹴りとかも少しだけ辛そうだったかな。前傾はできるけど、首を含め後ろに反るのが苦しい状況のようです。でも、桜嵐記からの流れで見てしまうので、あくまでみやびな彼女のダンスと、珠さまのがっつり支えます系ダンスが円熟味があるようでいて同時にとてもフレッシュで、、、退団前の集大成じゃなかったな。これからもずーっと見たい。
ショーでもお芝居でも突出している鳳月杏氏、元花組トップ明日海りおさんをして舞台人としてとてつもない魅力を持っているみたいな言い方されてませんしたっけ?総合力で100万ポイントくらい(何基準?)お持ちです。
珠城りょう氏がご卒業されたあと、ちなつさまの色気でなんとか生きていくしかない、と思いました。
そして、紫門ゆりやさまのロイヤルスマイル!輝月ゆうまさまは下手側が多かったので、ひたすら月組至宝ゆりさまの笑顔を浴びたマチネでした。月組の至宝フォーエバー!
感動パート2↓↓



コメント