トップコンビの関係性については、ただ単に相互敬愛でいい、と思います。学年が離れている場合は、男役トップスターさんが大先輩で大尊敬の対象ということで、みちふう、ゆひすみ、ちぎみゆをまとめてひとつのエントリーで書きましたが、たまさくは別枠にせねばなりますまい。
みそののきせき(軌跡・奇跡)
美園さくら嬢は、入団2年目にして新人公演でヒロインのマリー・アントワネット役を努めており、99期の首席入団に相応しい場が与えられてはいましたが、その後はそれほど大活躍という感じではありませんでした。トップ娘役愛希れいかの役をもらったわけですが、変則的に出番が少ない役!はたから見るぶんには、もともと歌唱力と芝居心があってこなせちゃったように見えました。
2017年末には「Arkadia -アルカディア- 」のダリア役でバウヒロインの座を射止めるのですが、2017年初の時点では「グランドホテル」電話交換手スタートです。
5月の「長崎しぐれ坂」@博多座では精霊流しの女でした。2017年を漫然と過ごしたさくら嬢とは言いませんが、彼女の実力をもってすれば挑戦というところまでは行っていない配役でしょう。
この精霊流しの女の役を見てヅカ友がいたく感激していました。でも精霊船に立って歌う、というこれもまた変則的な役ーー。マリー・アントワネット役を持てる力でこなした、という見方を当てはめると、これも想定内。少なくともその時はそういう印象でした。
翌年2018年の「カンパニー」でも新人公演ヒロインがまわってきました。でも、本公演でのセリフが「がんばりまーす」くらいしか印象のないアイドルアスリート鈴木舞役。星風まどか嬢(100期生)が「王妃の館 – Château de la Reine -」でミチルという金沢貫一(愛月ひかる)の愛人役を演じたのと似た空気を感じました。若いオンナノコの役。それ以上でもそれ以下でもない。
そして迎えた同年初夏、「雨に唄えば」@TBS赤坂ACTシアターでの主役キャシー・セルダン。珠城りょう氏との相性確認か、という雰囲気でしたが、まさかねー。娘役さんの研6トップ就任は不思議ではないので、秒読み段階であったのか、そうでなかったのか。。。でもあまり実感がわかなかったです。(←誰?)
個人的には、大丈夫か!?と思ってました。萎縮しちゃうんじゃ?と心配で。後日談としては、やはりお稽古場で緊張の連続みたいな感じだったようです。
新トップコンビ誕生
愛希れいか嬢の退団公演となった「エリザベート」では次期トップ娘役としてエトワールを努めることになるわけですが、この時点でも、このおふたりの声や容姿の相性ってどうなんだろう?って思っておりました。似たタイプにも見えるし、違うようにも見える。。。
新トップコンビお披露目が、2019年3月・5月の「夢現無双/クルンテープ」だったため、お通として、宮本武蔵とまともに触れ合うこともないのに、涙涙の熱演で、お芝居感度の高さにおいて、珠さまも感心していたと記憶しています。
2019年3月号「歌劇」に掲載された月組新トップコンビ特別対談で語られたのは、珠城さんが「グランドホテル」で注目し始めたさくら嬢の芝居。「いつも人とは違う観点の解釈で自分なりのものを表現している感じがして…(中略)…この人めっちゃ変わってるんだろうな、って最初は思ったんだけど。」とあります。
対して、さくら嬢が、「NOBUNAGAの時、舞台袖で待機していた私の前に、ロルテスの格好良い珠城さんが颯爽と現れて、ねえねえ、芝居、どうやって創ってるの?と」
全く覚えていないというご本人は、「ロルテス役の、あのヒゲ姿で?」と聞いていますが、
本当に罪なお方ですな。ロルテスで下級生に声をかけるなんて。
それはさておいても、芝居、どうやって創ってるの?で始まる本格的芝居談議に突入しようとするその感じにクラクラします。😳😳😳😳😳
塩対応なの?
たまさくコンビの大劇場第2作目。洋物であるのは喜ばしく、日本初上演のミュージカルということで、なんだかんだ言ってもムサシよりもジョージである珠さまに期待感が高まりました。この、コンビとしての色が出てきても良い時期に、おふたりは♪ウィーンへ。
2019年末「I AM FROM AUSTRIA -故郷は甘き調べ- 」の上演を控えて、所縁の地へ赴き、オリジナルキャストにも会う、という趣向でした。
この特別番組「ウィーン満喫ふたり旅」のスカイステージの番組詳細に、なんと、「旅の始まりはホーフブルク宮殿。絶妙かよく分からないかけ合いを見せた2人は、ホテル・インペリアルへ。」とか「今回の旅の感じが、ふたりのコンビ感なのかどうなのか…!?」って、公式が塩たまぶりをこんな風に書いていたなんて。。。
わたしの初見は、4期下じゃなく5期ってところがミソで、このくらいならもう天然みたいな雰囲気の相手役には、はいはい、って対応するのが普通じゃないかと思いました。塩たまが照れ隠しの新婚ダンナ君みたいでもあった。
さくら嬢に関しては、ただのぽわんぽわんではなく、頭脳明晰者の地に足がついてない感の表れみたいなものであることが徐々に露呈していくのですが、塩たま×スイートさくらみたいなコンビ誕生は、ただの男らしい男役と歌ウマ娘役でない果てしない可能性の拡がりを示唆していました。
実際、「ピガール狂騒曲」では、結ばれてさえいない(役的には珠城りょう演じるジャンヌの双子の兄妹と結ばれるため)けれど、自立した女性を演じるさくら嬢は輝いていた!
そして退団公演「桜嵐記」での弁内侍役。
傑作の要素として、現実と創作が双方にからむ、というのがあると思うのですが、この作品はそのリンクぶりが絶妙。
役としての弁内侍は高貴な公家と、さくら嬢そのもの。珠城さま演じる楠正行は、彼女を憎からず思っているので「あなたは料理以外はなんでもおできになる」という塩のふりかかった実は最大限の賛辞を口にします。
ウィーン旅で「なにかとんでもない料理を作りそうな感じしますけれども」と言ったこととリンクしますねー。💛💛💛💛💛
そういうおふたりへの当て書きなのでしょうが、役を生きだした途端に、現実まで補完されていくように感じられます。
正行=珠城りょうの感情の動きとしては、普通の女子が料理ができるできないでなく、お姫様然とした弁内侍=さくら嬢が、意外と料理もすごかったり、逆に想像通りに不思議な料理をつくったりすることに心が動くはず、これすなわち、彼女に魅了されとるということ。
この塩対応については様々な意見があると思います。わたし個人としては、相方みたいな位置付けにある人に対してなりがちな態度だと思いました。
とある競技ダンスのカップルが相方のことを「ぶちゃいくな(*)顔して踊ってるなーって思って踊ってます」って言ったことがあるんです。同じ部類の関係性だと思いませんか? (*)王子、みたいな見た目の人だったので、どんなに崩れても、ぶちゃいく、にはならないのは周知の事実
「くやしくないのか」と言われ↓↓



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