マカゼの歌唱とジュンハナのスプリッツがもたらす世の平和

『NEVER SAY GOODBYE』 -ある愛の軌跡- 感想

5月1日と5月31日の間に何がある?5月1日は宙組公演ネバセイの大千秋楽。5月31日は2022年の後半突入1か月前。5月はある程度心して過ごさねばすぐに真夏になっちゃうな。などと思いつつ、編集Jは宙組さんの「NEVER SAY GOODBYE -ある愛の軌跡-」ライブビューイングを観てきました。

ゴールデンウィークの3日目ということで、映画館の席が埋まっていません。観劇と5月の連休はあまり相性がよろしくない。外に出ていわゆる行楽をしたい気分が高まる。ハワイに出掛けている人もちらほらいる模様です。

劇場ならまだしも、映画館でのこの重い演目は少しこたえます。それは印象だけの問題ではございません。

骨太で体力も精神力も凄く必要なこの演目。気力も体力も限界に近かったですが、オケの皆さまの素敵な演奏に助けられながら何とか無事に千穐楽を迎えられました」と名古屋人の指揮者、西野淳先生のツイートが。

フランク・ワイルドホーン氏書き下ろしのナンバー、数と熱量が多い。群衆が銃を手に踊る群舞もたっぷりがっつり、宙組のコーラスによるクライマックスが何度もやってくる作品。後出しでなく、西野氏が棒を振るお背中も力入っている感じを感じていたのでした。体力と精神力がたっぷり必要なの、よーーくわかります。(画面越しにですが、確かに音や音響がいつもより良く聞こえましたし、ライブビューイングのカメラワークもノーストレスで良かったです)

観るほうもずっと肩に力が入ってしまい、肩痛い。

同じく当事者、2006年の初演時にヴィセント・ロメロ役で「魂を込めて吠えてた」とおっしゃる大和悠河氏は感想動画をアップしていらっしゃいました。

当時は「はるか昔の内戦物語をミュージカルにした感じ」だったのに対し、2022年再演は「人ごとではない、すぐ隣で行われていること」であるとのお言葉通り、演じるもの、観劇しているものすべての心にセリフや歌詞が今の自分事として沁みて沁みまくる。

歴史モチーフから「時事」になったこの作品。戦いの背景が歴史・民族・宗教などが絡んでいて根深いことに加え、どうして戦うのかという理由も複雑なところが、余計考えさせられます。今も昔もその辺りは変わらない。

マカゼあっぱれ

初演参加者としての大和氏の考察は、真風涼帆氏のジョルジュ像は、男性的なアプローチであり、それが新鮮なんだそうです。

確かにあの伸びやかなマカゼ節に乗せて飄々と歌い上げる感じがこの役をリアルにしていました。力が入りすぎていないように見えるので、世界を放浪しているイケメンカメラマンに見えちゃう。宝塚の男役のえぐみを取り除きすぎることなく削いだ感じ。あと、楽曲のキーが声域にすごく合ってるように感じました(技術力なのかもですが)。

でも逆にヒーロー感はたっぷり、面目躍如の活躍!ってところでした。いつものように事前情報を入れていないので、ジョルジュがキャサリン(潤花)を救い出したときは、そんなことしちゃうのか(!)と思わず唖然。終演後、退団者のご挨拶で「泣くのね?泣くのね」と繰り返し愛海ひかる嬢に突っ込みを入れていた人と同じ人だろうか?そのギャップの大きさで宙組幼稚園と言われて面白がられるんだろうね、きっと。それが持ち味であり魅力です。

そこに絡むのが、潤花嬢。強いジュンハナだからこそのバランスがばっちりだよ。

ヒステリーにならずに雑味のない強さ。地声からのちりめんビブラートが心地よい。天彩峰里嬢のエレンもいいぞー!潤花×天彩峰里に真風涼帆を足す、するととてもキュートでおしゃれな雰囲気が漂うのでした。

『まかじゅんみねり』に加わるのが、ヴィセント(芹香斗亜)、アギラール(桜木みなと)、市長(若翔りつ)、ラ・パッショナリア(留依蒔世)あたりのやはり、肺が強いジェンヌさんばかり。そりゃあ盛り上がるわ。あと特筆すべきは、テレサ(水音志保)とコマロフ(夏美よう)。登場するたびに醸す雰囲気に惹かれました。

フィナーレがとても評判良いのですが、もっと凡庸でも全然良かったな。というのも本編で肩が凝ったので、ちょっと息抜き的に観たかったという思いが。そうはさせてくれないのでした。

デュエットダンスは相変わらず素敵でしたが。潤花嬢がばっと開脚!!してからの、銀橋上での最後の決めポーズ、などなどそう来るかーーー!という振付け。娘役さんの群舞には入っていなかったと記憶しており、、満を持しての登場感が出てました。

真風が歌い、潤花が開脚するときこの世に平和が訪れる、というフレーズが浮かんじゃって、なんか。。。😅

大千秋楽は、フランク・ワイルドホーン&和央ようか夫妻がご観劇、ということでインスタにツーショットをアップされてました。お写真の背景には、新旧のポスターが。この継続性が宝塚ならではです。

自分が関わったオリジナル作品が16年後に再演!それもただの再演でなく、演出家の小池修一郎先生、音楽監督の太田健氏始め、初舞台生として参加した真風氏らがちゃんと揃っている状態での再演。(初舞台生稽古での真風氏に対してあの子は頭角を現すであろうみたいに指摘したらしいですよ)

ワイルドホーン予言の通り真風氏はトップスターになっただけでなく、宙組の顔として安定と革新を体現されているように思います。トップとしての主演が10作以上、そこで、ジョルジュを演じた。これ以上ない情況ですね。

それを初演の主役さんであり現在は妻である女性と観劇する、ってこれこそ愛の軌跡だね。

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