男役珠城りょう集大成としての桜嵐記を語る

桜嵐記の進化・深化 感想
立体的な抱擁(左) と 平たい抱擁(右)   

お芝居は生もので登場人物がそこに息づいているので、毎日違う、日々最高更新、日々是進化・深化、など、評判だけで熱気と月組の巧みの技が伝わるような作品であった桜嵐記。

月組トップスター珠城りょうの集大成として頂点に持っていこうとした結果であるはずなので、どんどん右肩上がりに上がり銀河の果てまで、というわけには。。ということで桜嵐記の完成形が8月15日の公演です。

観劇回数の少ないなりに感じたのは、シンプルに、はっきりくっきりしたお芝居だったなー、ということでした。たまたまか、わたしが7月末に観劇したときは、セリフが連なって一気に話される箇所が走り気味で、初見だと聞き取れないかも?と思っていたのです。

最後の日には、全て改善されてはっきりくっきり。

冒頭に南北朝の説明から入る親切な作品なだけに、セリフの聞き取りにくさが発生しては残念です。でも、大千秋楽のお芝居は、感情の高まりに流されることなく、区切るべきところは区切って丁寧にセリフが話されており、ちゃんと耳に届きました。

(例外は「ますますおしゅうなったわい」で、音楽にかき消されぎみでした。どの箇所も緻密に計算され尽くしたお話だったので、一言も聞き逃したくないのよ!)

ライブビューイングとの相乗効果もありました。

どうしてもカメラがよることが多くなって、全体像が犠牲になるのですが、敵に楠木正行(珠城りょう)の放った矢があたった箇所がアップで映し出され、物語りの理解を助けます。ほら、後ろに敵がいるよ、と言ってくれているかのような。

後村上天皇(暁千星)の尊顔もアップで映し出されました。和メイクに少しだけ華やかさを足したようなお化粧がきれいにのっていて美く、うわーーきれいーと思ってしまったほど。これは、劇場の最前列でも見られない細部ですね。

大千秋楽の映像として残っているのは、タカラヅカニュ―スで流れたダイジェストの映像で、円盤に収録されているのは、5月28日の公演です。お休みをはさんで、約2か月半の時間差あり。そのあいだに作品が進化・深化したわけですが、どこがどう、というのは、多分注意力がある方なら羅列できるはず。

わたしの脳内に残っているのは、セリフの明瞭さと、弁内侍(美園さくら)さまの高貴さがランクアップし、それに反して人間味が増したので正行との関係性に深みが増した様子、でした。

7月の観劇時と5月の円盤映像では、内侍の愛らしいお姫さまぶりが勝っていたのですが、セリフまわしを、高貴、という原点に立ち戻らせたのか、身分がツーランクぐらい上がっていたのです。

第5場「野戦の夜」の前半、煮炊きに参加する内侍が、明らかに憮然として「手伝えと言うので」と言っていた。以前は手伝えと言うなら手伝う、だったのが、手伝えと言われて応じるのがわたしの偉いところ、になっていました。

同じく印象に残ったのが、第7場「吉野近くの峠」で休憩するまえの歩き方。リアルな疲労のそれになっていました。苦労の多い姫君として描かれているので、それくらいは我慢しているかと思わせるのが円盤映像。大千秋楽では、ちょっと足にマメができたどころじゃなく、気力も限界なんだな、と思わせて、内侍という人物がよりリアルに感じられました。

最後まで進化したい、みたいな願望を確実に実行してしまった美園さくらさん。勝手にMVPシリーズから、MVPをさしあげたい気持ちです。😉😉😉😉😉

大千秋楽まで、正行と内侍が吉野で接点がなかったことに対し少し疑問に思っていたのですが、高貴の度合いがアップされたことで、身分が違ったのね、と納得できました。さらには、これから戦に行くのに、娶って連れて行けと言われて、はいそうですかと連れて行けるはずもない、という感じも出てました。

一部お芝居が変わったように感じられれば、他の場面の理解も変わります。例えば、第11場「赤坂村・楠木の館」で正行が北朝に寝返らないという決断を下す場面。内侍のことが頭をよぎることが示唆されています。敵方についたら、さまざまなことが片付いて、諦めた人にも手が届くかも?という葛藤が見えたかのような気さえしました。(とは言え、内侍さまは喜ばないだろう、と思ったのかもね、いうところまで、どこまでも深読みできる。。。)

どのように桜嵐記が進化・深化したか、は観劇した人々の心の中に残ります。ただ、具体例として、ひとつ見つけることができました。

第12場「如意輪時寺の庭」での正行と内侍が舞ったあとの抱擁です。

「こんな花は、無数の命が燃え立つように見えます!」というセリフが言われるとき、内侍はより低くなっているので、正行は内侍を、腕のなかにすっぽりと収めることができています。体ごと彼女のほうを向いてしっかり抱きつつ、首は長く前方にねじっている。ライブビューイングで観たときに、全然違うじゃん!と思ったのですが、体の位置関係が全く違うからそう見えるんですね!!

観客のほうに二人の姿を見せようとして(珠さまの広ーい)両肩を前面に向けて開いてしまい、ただ二人で舞台に立っていた状態から、しっかりとかき抱き、身も心も一つになったかたちへと進化・深化……嗚呼、桜嵐記🌸🌸🌸🌸🌸🌸🌸

音楽の考察↓↓

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