歌劇団卒業後にOGさんがミュージカルに出演しても、豪華な衣装を着る機会は多くありません。輪っかのドレスが登場するコスチューム演目の上演は宝塚のお家芸。退団後にミュージカル「マリー・アントワネット」など、ストーリーがフランス王朝に関係する舞台に出演しない限り、ロココ調のドレスを着る機会はありません。
在団中は豪華な衣装をあまり意識していなかったけれど、卒業後にありがたみがわかる、みたいな発言をちらほら聞きます。自社の衣装制作部門を持っていると、そこはやはり質も量もすごいんだと思います。
自社でまかなって保管していられるからこその弊害もあります。豪華な衣装が制作されたのち同じ演目が再演されると、衣装は再利用される、これは、両刃の剣ですね。一目で「あのドレスだ!」と特定できてしまう衣装が何回も登場することに。。。残す衣装は残し、一部は刷新されることも多く、まるっと再利用ということでもないので、選別作業も簡単でないですしね。
エコの観点から、そして、チケット代やプログラム代に間接的に反映されているならば、仕方ないことです。ただ、没入感を邪魔されるとちょっと困ります。
没入感が邪魔される最たる例は、主役用の衣装だった場合、登場回数が圧倒的に多い場合、そして登場したシーンが印象的すぎるのに他の目的にさらっと使われた場合です。
「スカーレット・ピンパーネル」は初演が2009年ですから、10年以上前の作品です。そこから何作品もフランス革命ものが上演され、衣装が再登場してきたわけです。
2017年に星組で再演されたときには、綺咲愛理嬢が演じるマルグリットが肖像画を描いてもらうシーンのドレスは、紫とピンクがストライプ状になったドレスなのですが、2010年の月組公演で蒼乃夕妃さまが同じシーンで着たピンクのドレスはもっとベタに可愛い感じでした。初演時の2009年にさかのぼると、遠野あすかさまが着たのは、若草色のドレスだったのです。(これ自体興味深いです。ここは青系でなくピンク系だ、ってなったんですかね?)
この若草色のドレスは、2013年「春雷」のロッテ(大湖せしる)、2017年「ひかりふる路」のマノン・ロラン夫人(彩凪翔)、そして、2019年「ロックモーツァルト」のセシリア(音波みのり)も着ました。😅😅😅
スカーレット・ピンパーネル由来の衣装でよく使われているものは、ほかにも数着あります。コメディー・フランセーズの場面で登場するシャンパン色のドレスの転用で一番問題なのは、2015年上演「1789 -バスティーユの恋人たち-」での使用。マリー・アントワネット(愛希れいか)着用だったので、パリの女優と王妃さまが同等になってもいいのかな?と思いました。王妃さまの普段着、ならいいのかな?
世界観が壊れるという意味では、この作品中に登場する「衣装とかつら」のデザイナー、マリーのアトリエ。飾るのは、宝塚歌劇団所有の衣装じゃないほうが気が散らないので、ぜひ、再演時はつくりかけの衣装みたいなやつお願いします。(スカーレット・ピンパーネル、次の再演いつかなー?心待ちにしてます💛🧡💚💙)
登場回数が圧倒的に多いのは、美弥るりかさまの2019年ディナーショーで、光月るう組長が女装したときに着た紫色のドレスです。
2009年初演の「Heat on Beat!」のフィナーレに紫色とシャンソンの「枯葉」がテーマの場面用につくられた衣装だと思われます。
2012年に、憧花ゆりのさまがこの紫色のドレスを着て、紫色のスーツ姿の美弥るりか氏と踊っていました。
2015年には「Bandito-義賊 サルヴァトーレ・ジュリアーノ-」のフィナーレで早乙女わかば嬢、最近では「EXCITER!! 2018」で舞空瞳嬢が着用。もちろん他にもたくさん登場しますが、追えてる場面だけ挙げています。スカートがストレートで、その色使いからアダルトな感じがする場面に重宝されている模様。
でも、美弥るりかさま自身が2016年に「Forever LOVE!!」でも着たんだから、ご本人のディナーショーで登場したときは、これあたしも着たわ、状態なわけで。月組内の仲の良い人々がお互いに貸し合っているかのような印象を与えます。。。
月組ファンとしては、2016年「NOBUNAGA<信長> -下天の夢-」に登場するロルテスの衣装を見て、ロルテス=珠城りょうの肩幅!背中!!と思うわけですが、それに浸りきることもできません。
その衣装がイタリア・スペインの無法者とか、海賊もの汎用衣装だという事実を知るとき、乙女心は砕け散るのです。
2007年初演の「エル・アルコン-鷹-」で初登場(もっと前かもしれません)、同じ演目が13年後の2020年に再演されたときには、愛月ひかる氏演じる海賊ルミナス・レッド・ベネディクトの衣装として使用されました。
汎用衣装(ジャンプスーツみたいのとか、フラメンコなどのスパニッシュ系とか)が必要なのはわかります。人数が多いから。みなさんにいきわたる部活動のTシャツみたいな気軽さで、手の込んだ衣装が何十枚も必要なんですもんね。
「PUCK(パック)」でオベロン(星条海斗)が着ていた京劇風の衣装や、「バラの国の王子」の野獣(霧矢大夢)が着ていた衣装は、もはや扮装一式とも言える装備のようなものなので、それぞれ、「ファントム」と「All for One -ダルタニアンと太陽王-」の劇中劇に使用できて良かった(?)のかもしれません。
逆に、衣装自体にそれほど特徴がなくても、シーンと紐づけられ強烈な印象を残すものがあります。それは、エリザベートが、最後通牒を書いているときのガウンです。
最近スカイステージのタカラヅカニュース、初日か千秋楽の映像で、一般人の役柄の人が部屋着として着て舞台に立ってるの見かけて、刮目してしまいました。
エリザベートがフリマに出したみたいだなー、って思ってしまい、、、時々出して使うと痛みが少ないとか?なんでしょうかね。。。😶😶😶😶😶
着回しパートII↓↓



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