「カンパニー/BADDY」を観に行った日は、土曜日の誕生日だったのでよく覚えています。東京公演の2日目。情報遮断して行ったので、月から悪い人がやってきた、くらいしか知らず、宇宙服が出てきた瞬間から、悪の華の場面まで体感1分でした。カンパニーのほうが少し中だるみ感があったので、ショーでの疾走感が増していました。
完全ストーリー仕立てになっているので、コンセプトとしての継ぎ接ぎがないうえ、物理的にも、舞台を起点として、銀橋上の平行動線、後方のパネルドアみたいな仕組みを使った前後動線、せり上がり・下がりの上下動線まで、さまざまな方向に展開するという意味でもシームレス。
個人的に、「エリザベート」における前の場面がその次の場面に溶けていくようなテンポが好きなので、「♪ポッキーの片思い」のシーンを観たときに、グッディ―のことを歌いながら、グッディ―が走って行くと歌も終わる、という構成に同じようなテンポの良さを感じました。
観た直後は、新進気鋭の映画監督がつくった映画みたいな雰囲気だし、バッディーとスイートハートが逃走するときに使われていた映像が素敵だったので、まんま映画になったらいいのにー、と妄想がふくらみました。
核戦争後のデストピアならぬ、悪いことが一切なくなって退屈な地球というのも映画になりそうだし、月から来るならSFっぽくもあり、、
演出家の上田久美子先生は「以前はグレーゾーンだった範囲も悪と見なされるようになった」ことを背景として挙げていたので、この世の善と悪、光と影とか、そのあたりの真理を表現する、みたいな意図はないようでした。でも、観ているうちに、その混ざり合いがこの世が存在する所以か!みたいな気持ちにもなります。
他人に対しても、自分自身についても「良い人」に関連する想い、は結構複雑だったりするなー、と思い直すときがあって、そのときに、BADDYの奥深さって、思ったり深い?と思うようになりました。
周囲に良い人が多かったりすると、逆にその人たちの善良な言動が重荷になったり、まじめに思いつめても仕方ないときはいい加減になってみよう!って思ってみたりすることが増えたからです。悪いことはしたくはないが、いい子でい続けられない、みたいな?
でも、そこは何も考えずに楽しめるショーになっています。特に振り付けがすごくツボで、ビッグシアターバンク式典舞踏会が大好物。ぴったりの振りが、緻密に組み立てられています。
舞踏会にバッディ一味が潜入しているおり、顔を隠しながら踊るからバレない、というストーリー要素が、組んだり離れたりの振り付けに組み込まれ、あっ、はっ、ふっ💖、みたいな愛希れいかさまの演技で、こちらも、あっ、はっ、ふっ💖、ってなりながら、見ることになります。
金色のドレスで踊っている女性たちには「招待客?」という役名が付けられているのですが、夢奈瑠音、春海ゆう、朝陽つばさ、蘭尚樹氏らの男役さんが含まれているんです。でも、潜入しているから、バッドボーイズが混じっていても不思議はない!振り付けも、別に映像にしていただきたいほど素敵。
銀行強盗シーンで、最初はわからなかったものの、銀行強盗指南するために同じことを2回するというシーンで、去り始めている銀行関係者が後ろ歩きで全員巻き戻っているところに !!!となったり、貴澄隼人さま演じる頭取が最後には、結構イケオジになって踊っているのに!!!となったり、、、いろいろ楽しめる作品です。
スイートハートも登場したときは衝撃だったのですが、いま考えれば、ヅカファンにとって、トップスターを取り合う娘役と2番手さんでも、娘役を取り合うトップスターと2番手でも、どちらでもあまり関係ないのです。
あれから3年、、、BADDYのときにいらっしゃったジェンヌさんも一人去り、二人去り、今年の8月15日には、専科へ異動される方を含めて11人が月組を去ります。2050年あたりに振り返ったら、BADDYが21世紀の「ノバ・ボサ・ノバ」みたいになっているでしょうかねー?😇😇😇😇😇


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