人によって濃い薄いの違いはあれど、宝塚歌劇団についての世間一般の認識は、女性ばかりの劇団、ベルばらが有名、劇場にはファンが入り出待ちをしている、熱心なファンが多い、卒業後テレビなどでOGを見かける、音楽学校の合格発表がニュースになる、あたりだと思います。
わたしは、スターが銀橋から目線を飛ばすとファンが歓喜する、みたいなことを何かのドキュメンタリーで見たことがあったのもあり、銀橋は観客がよく見えるようにつくられたに違いない、とぼんやり思っていました。(けっこうな思い込みや思い違いが多いという例。)
実際観劇したり、映像を見ていくうちに、ダンスという目線で、銀橋について、ある想いを持つに至りました。銀橋上でのダンスは究極なのではないか?と。また、銀橋効果というものが思ったより宝塚の舞台全体に効果的に働いているのでは?
なぜなら、動かさずに動かす、という矛盾を成立させること=ダンスだからです。
郷ひろみさんが、動きを見せるには、ちゃんと止まることが早道なのだと気付いて、ぴたっと止まることに注意した、みたいな発言していたことがありました。たくさん動くことの対比として、ちゃんと止まったり、頭を一定の高さに保つなどなど、開放と制限の繰り返し、みたいなことね。。。それでいて総合的にはすごく動いてる!という印象を与える必要がある。
銀橋の幅は、1.2メーター。そのうえでは半回転ですら危なく、1回転する場合、少し軸がぶれると落下する幅だと思います。
ジェンヌさんはプロなので、横の人にぶつからないように苦労するんですよー、とか語っているのを聞いたことがないのですが、わたしが、銀橋上で踊れ、と言われたら、ぶつからないように落ちないように、と思うだけで全くその他のことには気がまわらなくなると想像します。何かダンスっぽいことをやってるだけで、脱帽なのですよ!
振り付けは、おのずと最低限になります。その振りを、究極に体を静かに動かして最大限の効果を得る術を心得ているのがタカラジェンヌさんたち。
ずらっと並ぶときは特に、横方向にできることが極端に少なくなります。後ろはオーケストラピット。前方には観客。足を後退させてみたり、前に踏み込んでみたり、あとは、腕を小さめに動かすくらいの振りになっていることが多い。
ただ、自分がかっこよく踊ればいいというものでもなく、ちゃんと観客に微笑みかけなければならないし。目線が下になるのも、見ているのは簡単だけど、ふとしたときに、視線が銀橋のフチを見失うんじゃないかと思ったりします。それを感じさせず、普通に何気なしに銀橋上で踊っているのがジェンヌさんなのです。😮😮😮
映像の3D効果
映像になったときに、銀橋中央と真後ろの舞台上の画づらが一幅の絵のように見えます。娘役の集団だったり、横にずらっと並んだ男役さんの一部だったり、銀橋上で起こることを見てるんだけど、伴奏のように後方の舞台上での様子も切り取られて、フレームに納まる。
映像で、銀橋の上に立つ演者をちょうどフレームに入れると、後方舞台上の演者の頭が見切れることになります。それでも振りは、目に入ってくるので、主役級の演者がやっていることの味付け、のように見えます。
舞台を観劇すると、自分の見たいところに視線がいったり、お顔を眺めたりしがちなので、映像で見るとまた違う感じがするんです。宝塚作品のDVD鑑賞って、映画などに比べてリピート視聴が多いし、それに耐え得る質を持っています。理由のひとつは、この映像の3D感です!
トップスターさんが銀橋上で立っている映像で、まあまあの頻度でお顔がアップになります。曲終わりなどで、時々目線をふっと上に向けるのが映っていることも。
ちょうど2階席を見上げるかたちになるのですが、その目線の先には、大階段に立つ娘役がいる、のです。デュエットダンスの導入なんかがそうですね。前方を見ているのに、その瞳に映るのは、自分の背後に立っている娘役さん。。
宇宙を感じます。😇😇😇😇😇


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