芝居の月組ならぬ小芝居の月組を語る

芝居の月組のイメージ ヅカ道

おしばいの月組ならぬ、こしばいの月組。主要人物が前面でお芝居しているうしろで展開するちょっとしたやりとり、または、台本に書かれていない部分を膨らませて演技に取り入れられる動きが、、入っていないことがない!

映像で見ると、カメラに捉えられた部分により集中しちゃうので、良くも悪くも細かいことが目に入ってきます。

一番衝撃だったのは、2018年月組公演「BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-」のパスポート偽造シーン。

偽造パスポートを切り貼りするバッドボーイズのホット(紫門ゆりや)が、イスに座った状態で、おらっ!おらっ!とハサミで空を切っていたことです。

ホットは、刃物を持たせると危ないヤツなのね。という芝居なのね。それぞれキャラを考える、みたいなことはよくあると思いますが、このシーンだけで、ホットが定義されるという小芝居でした。

この愛すべきホット、東京千秋楽では、偽造パスポートつくりをボイコットして居眠りしてました。😴😴😴😴😴😴😴

肘をついて派手にコックリ、バッディ―がチェックしに来たので起きる、みたいな小芝居。(NHK収録も東京公演で、こちらも同じシーンは居眠りになってたので、東京に来てからホットの役作りが変わった感じですかね?)

ホットの例と同様、何回も見ていたはずなのに、こんなことやってたのか!と気付いたのが、

2013年梅田芸術劇場公演「ME AND MY GIRL」の、ヘアフォード伯爵家の庭のシーン。

サリー役のちゃぴこと愛希れいか嬢が、マリア公爵夫人(憧花ゆりの)からのはなしを聞いている後方に、編み物をする女性や、お茶するジャスパー卿、庭木を手入れしている使用人などがいます。

歴代のジャスパー卿は静かに新聞を読んでいたりするのですが、綾月せりさま演じるジャスパー卿は、お屋敷の弁護士パーチェスター(星条海斗)から話しかけられ、え?なんだって?いまからお茶飲むところだったのに、、、みたいな小芝居を繰り広げます。ほんとうに会話が聞こえてくるようなんです!

まだまだあります!

2011年日本青年館大ホール公演「アリスの恋人」で、赤の女王(愛風ゆめ)が、主演明日海りおさまらが自作自演する劇中劇を、もうそれはワクワクしながら鑑賞中、ストーリーが佳境に入り、後方でダダをこねます。

だってジャバウォックがあっ、死んじゃう、やだやだ、みたいな感じ。赤の女王のキャラクターは主人公ルイス・キャロルの妹のわがままが具現化したものである、という点において、悲しいストーリーに人一倍反応してしまう赤の女王のせつなさ、みたいなものが後からジーンときます。

そして、最後は、2010年4月23日収録の「スカーレット・ピンパーネル」2幕2場の王宮の廊下です。

侍従(千海華蘭)がパーシーの指令を書いたメモをフォークス(星条海斗)に渡し、赤い封蠟を見てこう言います。

「おー、赤い花の封蠟は、まるでスカーレットピンパーネルのようですね」

「きみ、これは椿だよ」と打ち消されるので、失礼いたしました、と下手にはける、というだけのシーンですが、このときに千海華蘭さまが、すこーし首をかしげながら退場していくので、指令を絶対人に見られてはならない、とか言いつつ、危ない橋を渡っているピンパーネル団の危機か?とドキドキ感が倍増するのです。この侍従の解釈は、椿よりも紅はこべに見えたぞー、ってはけていくようにも見えるし、あの人なんかあせってなかったか?と思っているようにも見える。

王宮での世界観が千海氏の小芝居のぶんだけ拡がる感じがしました。スカピンという作品自体が、小芝居の入る余地がたくさんあるので、さすがに侍従は指令を持ってくるだけで意味を持たせる必要はないかと。。。でも、何かいれてくるとはっ!!!

月組のお芝居全般に関して、こういう小芝居の総量が多い気がするんです。慣れてしまうと、他組を見て、あれ?ふつうは後ろでけっこう静かに立っているものなの?と思ってしまうことも。。。(本末転倒)

だからといって、お芝居のシの字はしっかり押さえているところが月組。

例えば、2013年月組公演「ベルサイユのバラ、オスカルとアンドレ編」に関して、スカステ番組NOW ON STAGE#387で、アラン役の星条海斗氏がオスカル・アンドレ両方を演じた龍真咲さまの役づくりに対し、「まさおは現代っぽい雰囲気の持ち主なのに、誰よりも古典的につくってたから…」と発言していました。

それに対し龍真咲さまは、さらっと、今まで積み重ねてきたベルばらの伝統は継承するっしょ!みたいな感じで受けていましたが、やっぱり月組の職人のワザを持ってして、そのあたりをきっちり守りつつ、自分たちなりの味付けを加えるところが月、なのではないでしょうか?

職人級の人たちばかりなので、セリフの聞こえやすさなどを全く犠牲にすることなく、同時に自由度も追求できる、、それが月組のタカラジェンヌさんたちです。🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔🤔

月組芝居を成り立たせるもの↓↓

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