宝塚作品には、完全オリジナルのほかに原作があるものと、すでにある作品を宝塚仕様にして上演する、の3パターンあります。原作があると、物語の矛盾は原作由来のもの。それに対してどうのは言いますまい。
でもね、なんか気になっちゃうんですよねー。一番気になったのは、2018年月組「カンパニー」で、世界的に有名なバレエダンサー高野悠(はるか)氏がわざわざウィーンから帰国して舞台に立つのに、チケットが売れない、と強調されていたこと。売れるでしょー、と突っ込みを入れたい。
出演するっていうだけでチケット即完売のバレエダンサーが高野さんじゃないの?有明製薬改め有明フーズ&ファーマシーは、そのためにバーバリアンや高野さんをCMに起用しているのではないの?費用対効果はどこいった??
次に突っ込みを入れたのは、2019年雪組「壬生義士伝」での吉村貫一郎の貧困。女性としては飢餓とか飢饉というワードに過敏に反応してしまいます。
冒頭、吉村の旧友、千石取り以上の武士「御高知」である大野次郎右衛門が母のひさに「米のほか、干物、塩、味噌」を持ってくるシーンがあります。母のひさ(梨花ますみ)の、米は一俵でいい、とか、吉村さまが自分も食うに困る状況下、稗と粟を持ってきた、、というセリフのあたりから頭に?が浮かびます。じゃあ、その余った米を吉村さんちに持って行って!と叫びそうに。。
吉村が脱藩する原因となった貧困というのは、インフレや財政の失策などがからむ複雑な貧困であり、単純に食べる米がない、ということではなかったようで、そのあたりは↓のサイトに詳しく解説されています。
(トップページ:https://www.mibugishiden.com/)
でもね、荷車に米乗ってるので、そのまま吉村家に急いで持って行ってあげてー、という感情は抑えきれませぬーー!
子を演じて母を演じる
次のモヤモヤポイントというよりアハ・モーメントポイントという言うべきか、、は、壬生ついでに、同じく壬生義士伝より。
この公演で、望海風斗&真彩希帆トップコンビは、吉村貫一郎としづの夫婦を演じます。その子である嘉一郎とみつ役に、彩海せら&彩みちる。新人公演では、この彩海せら&彩みちるの兄妹がそのままスライドして、吉村貫一郎としづ役に。
期待の新人が主人公の子供時代を演じることはよくありますが、そのうえで新人公演主役も演じることと重なるには、すごい抜擢と、子供もできちゃう愛らしさを持っている、という2つのことが同時発生しないとならないのです。
この場合は、彩海せら氏が入団4年目で新人公演主演を射止めたことに起因しております。2016年入団の102期生で初めて新人公演主演者となったため、99期生という4期上の彩みちる嬢とともに子役、そして新人公演では夫役をやるというねじれが、、
彩みちる嬢は、2015年「星逢一夜」の初ヒロイン経験者ですが、この吉村貫一郎の妻役はブランク3年のあとに射止めた新人公演主役です。それでいて、見た目が愛らしいので、本公演ではまだ子役ポジだったんです。
「おらめし要らね~」って泣いても全然あざとくないし。わが月組の白河りり嬢も子役をやると異常に愛らしく、「桜嵐記」で楠木正行の少年時代を演じていますが、103期なのでね。体がきゃしゃな娘役さんは学年に関係なく少年役ができると思いますが、少女役となると、、フレッシュさがないとどんどんキツくなっていきますよね。
彩海せら氏の大抜擢と、彩みちる嬢が99期でも少女役ができる、という奇跡が重なって、本公演で兄妹だった二人が、新人公演では主役夫婦になっていた。よく考えてみると稀有です。
本公演では自分が演じている女の子を新人公演の舞台で母親としてあやす、、一瞬別次元に入り込んだみたいな感覚にならないかしら、と思います。ジェンヌさんたちはプロだからならないかな。
新人公演で子供を演じる状況といえば、「エリザベート」です。月組トップ娘役、愛希れいか嬢の退団公演となった2018年、ありちゃんこと暁千星氏は新人公演最後の学年で主役トート役に滑り込みます。本公演では、若き皇太子ルドルフを演じていました。つまり普段は引っ張られている側から引っ張る側に(銀橋をズルズル引いて渡る振付け部分)。。。。
歌で言えば、「♪闇が広がる」の低音パートの人が高音パートを歌う側にまわるってことです。ご本人が、一瞬高音パートを歌ってしまったことがあったと言っていましたよ。そりゃー、こんがらがるでしょう。
同じような現象が見られる過去エリザは以下。
1996年雪組(少年ルドルフ役=安蘭けい/新人公演トート役=安蘭けい) 1996・97年星組(少年ルドルフ役=星影瞳/新人公演エリザベート役=星影瞳) 2009年月組(少年ルドルフ役=羽桜しずく/新人公演エリザベート役=羽桜しずく) 2009年月組(ルドルフ役=明日海りお/新人公演トート役=明日海りお) 2014年花組(ルドルフ役=柚香光/新人公演トート役=柚香光)
本公演少年ルドルフと新人公演トートをやってしまう安蘭けいさまの器用ぶりが際立ちますが、成人ルドルフと新人公演トートのほうが、この2役が絡む場面が多いため、より難しそう。また、娘役さんが小さいほうのルドルフを演じて、新人公演でエリザベート役に抜擢された場合、息子を演じたうえでその母を演じることに。。。
暁千星氏に関して、もうひとつ突っ込むところがあります。前述の抜擢が起こると派生する問題に近い現象です。
2015年「1789」公演でのこと。ありちゃんは、研4で2度目の新人公演主演を射止めましたが、本公演での役もけっこう目立つ、愛希れいか嬢演じるマリー・アントワネットの恋人フェルゼンでした。
この役は出番がそれほど多くないものの、とっても印象的でした。そこから頭を一旦リセットして、2018年「エリザベート」を鑑賞できないほど人間の脳は軟じゃない。でも、ふとした瞬間に、ママ、あなたが生んだ息子は、3年前は恋人だったよ、って思うんです。🤣🤣🤣🤣🤣
同じ組の演者が入れ替わり立ち替わり、時には性別まで越えた役を演じていくので、起こりえることです。たいていはそれほど脳の葛藤を生むものではありません。むしろそれが妙味だと日頃から思っています。
でもね、ヒマだったりすると、あーーーそういえばありちゃんフェルゼンだったんだよなー、ママ、ママ、って言って慕っているけども、とか思う。そんなことをぼーーっと考えられるのも宝塚ファンの特権。😄😄😄
演者は固定、役が変化↓↓



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