宝塚で着用される軍服のなかでも右肩出しているあれは何?

宝塚の軍服衣装のイメージ ヅカ道

スカイステージの番組、宝塚魂 -タカラヅカスピリット-#10のトピックは『宝塚の軍服』でした。軍服自体が使用される演目も多ければ、軍服ベースのアレンジ衣装も多く、見慣れた光景ではあります。そのなかでも!マントを左肩にかけ、右腕を出したスタイルは正装感マックスな感じがして刮目してます。軍服は既にスーツのジャケットみたいなものなのに、その上にさらにジャケット状のものを羽織るという!

特に軍服演目好きでもないのですが、あの片肩出しには目がハートに。。。右脇でヒモを結ぶので、エレガントだし、重いマントだとしても楽に着れそうな気がする!(バックパックを背負うと腰が痛くなるので、こういうふうに斜め掛けにしてリボンで結ぶバックパックが欲しい)

この番組に出演されたのは、紫門ゆりや&佳城葵のおふたりです。軍服を着慣れているはずの紫門ゆりやさまが、「なんで片方の肩出てるんだろう?(一体何!?)あの素敵さ✨✨✨✨✨、みたいな…」と発言していたので、おんなじこと考えとるやん!と思いました。着ていてそんなこと思ったんですねー。そのへんはとっくに解決済みかと思ってました。

この軍服のコートっぽいものを肩にかけるのは娘役の衣装でも見ます。「エリザベート」のエトワールが真っ赤なドレスの上に羽織ってます。2017年宙組「神々の土地 ~ロマノフたちの黄昏~」の皇女オリガ(星風まどか)の正装でも羽織ってます。この演目自体が軍服祭りみたいでしたが、女性が羽織るのは、それほど多くないので目を奪われます!

軍服を着ることは一生ないと思いますが、娘役が着ることがあるのなら、自分にも少しは関係あるファッションアイテムとして考察しなければなりません!!

ということで、以前から疑問に思っていた軍服左肩はおり、について調べましたよ。

ぺリースください、プリーズ!

15世紀のハンガリーが発祥とされる近世の軍隊における兵職の一つに、ユサール(フザール、ハサー、英: Hussar、仏: Hussard、独: Husar(en))というものがあります。日本語で、軽騎兵

騎兵(きへい)とは、なにかに乗っている部隊のことを指すそうです。ロバ、のちに馬、現代では装甲車などに乗っている部隊。

スペインのドン・キホーテのように、鎧で重武装していた騎士が、軽装になっていき、ハンガリーで始まったスタイルが全ヨーロッパに広まったのだとか。軽装なので、がっつり戦うのでなく、撹乱、奇襲、偵察といった役割を持っていた、とあります。

肩にかけるマントは、ぺリースという名前で、短くてファーのトリミングが付いたものが原型。なので、長いマント状のものはファッションアイテムとして進化させた形なのでしょう。

右手はサーベルとか弓を使うのに開けておいて、左肩はそういった武器で突かれたときの緩衝だった、とあります。確かに、ぶんぶん振ったら剣が絡まって防御にもなりそうです。

現役の騎兵隊がデンマーク王立陸軍にあるそうで、Guard Hussar Regiment(近衛騎兵連隊)といいます。画像検索すると、ブルーの軍服に、赤に黒のトリミングのあるぺリースでした。同系色もいいけど、反対色のはおりものも目立っていいですね。チームカラーのようなものが2色あるときにぴったりです。コペンハーゲンでは、王室がらみの式典などで、ぺリースを着た騎兵隊が見られるんですねー。

Scanned by H. Churchyard (originally La Belle Assemblée)

番組内で紫門ゆりやさまが好きな衣装として挙げていらっしゃったのが2013年月組「THE MERRY WIDOW ~オペレッタ メリー・ウィドウより~」で着用したもの。下がストンとしたパンツスタイルでした。主演の北翔海莉さまが演じられたのは、軽騎兵隊中尉のダニロ伯爵という役。お勉強した「軽騎兵隊」というキーワード、出てきましたぞ。

ブーツインしているスタイルのほうが目立つのですが、確かに、ブーツ無しスタイルも精悍です。何度も目にしたはずのエリザベートでの皇帝フランツが着る軍服が、全部このストレートパンツで、改めて考えてみると、執務服としての意味合いが強いからですね。

紫門ゆりや氏がメリー・ウィドウで着用した軍服は、まさに軍服と同色のぺリース、白のファートリミングがついてるものでした。お似合いです!

このぺリースは、19世紀初頭の女性ファッションにも登場しました。ハイウエストで、裾にかけてあまり広がらないコート状のもの。よく見ますが、軍服にインスパイアされたものでしたか。

(ちなみに、ですが、肩にかけるものとして、サッシュがあります。たすきのようなもの。議員など国家の公職者が、公的な儀式の場で右肩にかけるそうですよ。勲章が一体になったものの場合、多くは左肩からかける形で着用。ぺリース同様、たすき、も前から気になってました。2019年月組公演、通称IAFA「I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-」では、パレードでトリデンテ以外の出演者全員が肩にかけていたので、壮観でした。この場合のサッシュは、国旗の色が入っているものを右肩からかける、ですね。紅白なので目出度い感がすごいです!)

宝塚魂 -タカラヅカスピリット-#10では、コメントを寄せた元星組トップスター紫苑ゆう&湖月わたるのおふたりを含む出演者全員が、いかに軍服を着るのが難しいか、について語っていました。着られてる感という言葉が何度も登場しました。中身もちゃんとしていないと衣装負けしてしまう、と。

紫門ゆりや氏が挙げた軍服衣装の例には、きらびやかなものも多く、非常に興味深かった(それに佳城葵氏がはいはいはいはいはいわかります、ってムッチャ同意してて可笑しかった)のですが、最終的には、軍服着こなし精神論になっているのがタカラジェンヌらしくて。。。😃😃😃

かっちりしている軍服で踊るとかね、大変なんじゃないかな。想像できません。🤔🤔🤔🤔🤔

衣装デザイナー・有村淳の世界↓↓

衣装ばなし

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