熱心なファンのみなさまのなかには、絶対買うと決めているBlu-rayディスクはとりあえず買っておく、という方々もいらっしゃいます。ただ、最大の特典である稽古場風景と小冊子の分を引いても一枚のお値段は安くありません。😭何回も鑑賞できる作品が収められている円盤に投資したいもの。
と、同時に、あまりインパクトが強い作品は見るたびに疲れてしまうため、元気をもらうために見てぐったりしたり、重苦しい気分になるのも考えもの…。つまり、感動する名作と、なぜか妙に時々思い出して見たくなる、は違うのです。こってり、あっさりに分けられるなら、あっさり味を持っている作品のほうが飽きない。(好き=円盤の再生回数∞という方程式は成り立つが)
わたしが個人的にあっさり系良作だと思うのは、
「追憶のバルセロナ/NICE GUY!!~その男、Sによる法則~」 作・演出/正塚 晴彦 ブルーレイ/TCAB-110 収録日:2019年9月23日市川市文化会館千秋楽 収録時間:177分
追憶のバルセロナは、正塚晴彦先生作なのに、比較的あっさりテイスト。セリフが冗長ということもない。曲調が明るく悲劇度が低めのスパニッシュものです。
「♪カーニバル」と「♪追憶のバルセロナ」の2曲のさわやかさが心地よい後味を残すことでしょう。
♪歌うなら 喜びを きらめく瞳のように 踊るなら 幸せをこの 胸に抱きしめ♪ ♪かわすなら 微笑みを 親しい言葉のように 過ぎていく 光と影を 胸にとどめて♪
↑基本を押さえまくった川柳のような歌詞が沁みます。
ジプシーの娘イザベル(星風まどか)が真風涼帆氏演じるフランシスコに惹かれていく物語であるのに、真風涼帆氏のフランシスコが常に「ふーん」みたいな顔で、おれのこと好きなのかー?くらいのテンションなのが逆に萌えるのです。
その飄々とした演技が、のんびり視聴にぴったり。
追憶のバルセロナのように全国ツアーで上演される作品は、宝塚を初めて見る人にもわかりやすいことを前提に選ばれるので、とっつきやすいです。
大階段から降りてくるトップスターを拝むことはできないけれど。大階段ならぬ8分の1くらいの小階段が使われることが多く、出演者が銀橋に出る部分は、舞台の前方を左右するだけに変更されます。それでも、作品の魅力が減ることはありません。限られた人数での公演になるので、一人一人の熱演が際立つことも。全国ツアーの会場や梅田芸術劇場では、空間を埋めよう埋めようとすることなくリラックスして演技ができる、利点があったりするんじゃないかと思います。
次にコスパが良いのは、タカラヅカスペシャル2016です。
「タカラヅカスペシャル2016~Music Succession to Next~」 出演:専科・花組・月組・星組・宙組 監修・構成・演出:石田昌也 構成・演出:中村一徳、藤井大介 ブルーレイ/TCAB-044 収録日:2016年12月23日梅田芸術劇場メインホール 収録時間:129分
タカラヅカスペシャルは、その名の通りスペシャルなので、普段は一緒に舞台に立たない生徒間のやりとりや、組を越えてのコラボが見られる唯一の機会。107年の歴史のなかで人々の心に残ってきた珠玉の名曲スペシャル的な立ち位置で、曲をどんどん歌いつないでいく構成が多いです。
2018年のタカラヅカスペシャルをライブビューイングで見たときに、年の暮れにいいもの見させていただきました、という感覚があったのですが、一曲一曲がすごく短いのが気になりました。それでも、タカスペは、生演奏で美しい人々が歌い踊るという稀有なエンタメなのです。
出演者全員でのプロローグとエピローグが、その年のテーマに合わせた感じのお揃いの衣装になります。その後のコーナー毎に、組別の衣装になったり、とっかえひっかえ状態。毎年新調とはいきませんが、この人にこの場面でこれを着せるのかー、そうくるかー!みたいな楽しみ方もありますよ。
曲、出演者、すべてが選抜なので、極上しか出てきません。中だるみするような作品でも、そのハイライト部分が出てくるわけなので、途中を飛ばして楽しんでいるかのような気分に。。。
わたしが好きなのが、トップ就任直後で出演作がなく、前のトップさんが歌っていて自分は2番手として参加していた作品の歌が披露される場面。北翔海莉さまご卒業直後の紅ゆずる氏による「桜華に舞え」と、龍真咲さまご卒業直後の珠城りょう氏による「GOLDEN JAZZ」が、このタカスペ2016に収録されています。また、組替え直後のメンバーが参加した場合、そのジェンヌさんが参加していない作品の歌を歌うことになるので、しみじみと、X組の一員になったんだなーと思う瞬間で、これもタカスペならでは。
この円盤で特筆すべきは、故小林公平・寺田瀧雄による作詞作曲の作品をメドレーで綴る「Memories of TAKARAZUKA」。このコーナーで歌われる「愛の宝石」、アップテンポバージョンみたいなアレンジなのですが、オリジナルよりこちらのアレンジのほうが楽しくて好き。
もうひとつの目玉は、「エリザベート20thコーナー」。日本初演から20年周年記念として、直近エリザベートに出演した、朝夏まなと&明日海りおのコラボ、そして、芹香斗亜ルドルフ&珠城りょうトート、美弥るりかルドルフ&紅ゆずるトートによる「闇が広がる」コラボが繰り広げられました。ファンの方々にとっては、めずらしいね、から永久保存!までさまざまな反応があると思いますが、エリザベートはちょっと聞く、みたいな視聴が難しい作品なので、こんな抜粋みたいな感じだと気軽に楽しめます。
(スペシャルものつながりで言うと、THEME SONGS 宝塚歌劇主題歌集はおすすめしません。同じ演目のなかに複数好きな曲がある場合は、いいのですが、曲のつなぎ方がいまいちー。)
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番外編は、【Blu-ray版】明日海りお主演「アリスの恋人」。新たに稽古場映像が収録された円盤です。作品自体のテーマは重いものの、明るい曲も多く、なにより不朽の名作なので、稽古場映像付きで所持しておくもの手です。😉😉😉


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