なぜ紫門ゆりや&輝月ゆうまのおふたりは専科に所属するの?

宝塚月組にスター渋滞 ヅカ道

ショー、特に黒燕尾の群舞、での雄姿が見られないかもしれない、と戦々恐々としてしまった、紫門ゆりや&輝月ゆうまご両人の専科異動。一旦落ち着こう!ショーや黒燕尾の出演はあるかもしれないし、ないかもしれない、これが正解。

専科から、どこかの組に出演するのは「特別出演」で、どこにどう出演するかに関しては、ある程度のパターンはあるものの例外もあり得る。専科のなかでも重鎮(研40~50)の出演者の方々のなかには、ショーには出演されない、でもパレードの最後だけは参加する、などなど、変則的です。

専科という言葉が、ともすると限定的と同義に聞こえたりして、すこし構えてしまいますが、ある日膝を打ったことがありまして、、それは、おふたりには、専科という人事をしなければならなくなった事情があるのではないか、と。以下にわたしの推察です。

研10以上と上級生、かつ、個性が際立つので、ちょっとした役では成り立たないのに、ぴったりの役が毎公演見つかるとは限らないこと。

どうです?妄想ですが、ある日突然、そうか!ゆりちゃんとまゆぽんには、配役と待遇において、適宜ってわけにはいかないよね、と肌感覚で思ったのです。

そんなことをすると、才能の無駄使い甚だしく、とてもよろしくない!今回はどんな歌を聞かせて?どんな一面を見せてくれるかしら?というファンの期待にも答えられず、双方向で具合が悪い!

これは、専科から特別出演すればまるっと解決することではありませんが、少なくとも、差別化ができます。専科の人が演じる役には特徴があるし、セリフなどもある程度ご本人やファンが噛みしめることができる仕様になっていることが多いです。

こうなったのは、宝塚の構造的問題が関係しています。

良くも悪くも、トップと番手スター以外は、成績差と学年差はあれど、組子というひとくくりです。宝塚のスター制度の下で最優先されるのは、トップスターや番手スター。番手スターさん以外は、外部で言うところのアンサンブルではなく、アンサンブル以上の存在です。それでも、番手がついていないなら、いくら実力があって一目おかれる存在でも、若手でスター街道を走っている人とスポットライトを分け合うことはできません。いわば、アンサンブル以上5番手未満。そこを突破できるのが、専科から特別出演!

感覚としては、副部長の下に、技術担当リーダーのような役職を設けるような、でもそれはできないから専科所属に、という感じです。

全く初見だった方に、円盤をお貸しして、返して下さったときのコメントが、こうでした。

「ショーの途中で名前が出る人がいるけど、出ない人がいるってことは、そういうこと?」

これには、うなってしまいました。名前がテロップで出てくるのを疑問も持たず見てますけど、確かに、お名前出てくる=ピックアップジェンヌ。他に気になるジェンヌさんがいたら詳しい人に聞いてください、ということですもんね。

もうひとつの例は、NHKがBSで宝塚公演を放送するときの階段降りです。2番手スターさんが大階段センターで歌っているあたりから、NHKさんは気持ち良いくらい歌っている演者だけ、もしくは、舞台全体を映してくれちゃう演目があり、両脇を降りてくる方々のお顔が映っていないことがありました。お辞儀しているお姿を拝見したい!ってなります。スカイステージ映像ではあり得ないのですが、一般的に言えば、階段の真ん中を降りてくる人が最優先、ということなのでしょう。

そこで、専科からの特別出演をもってすれば、役の差別化、出演者の立場としての差別化、両方可能になるのです!

実力者をムダ使いしない配役は難しい

「ハンナのお花屋さん -Hanna’s Florist-」2017年花組@赤坂ACTシアターのライブビューイングを見たときに、小さいお花屋なのに従業員多いなー!と思ってしまいました。青春群像的な雰囲気もあったので、さまざまな人物が出てくる必然性はなきにしもあらず、ですが、可愛らしい雰囲気のお店のわりに、けっこうなビジネスなのね、瀬戸かずや氏演じる「経営マネージメント」担当者まで?など、気にしだしたらキリがない感じでした。

小さめの劇場で上演する演目には、組の約半数が出演します。ひとりひとりが持ち味を活かす配役、という意味ではまだ少し多すぎる人数です。だからといって、群衆やバックダンサー的な出演者が必要な場合は、カンパニー内でまかなわないといけないので、掛け持ちも発生することに。。。

演目自体に役名がつく登場人物が圧倒的に少ないと、何をどうしようとモヤモヤします。

2018年宙組公演「異人たちのルネサンス -ダ・ヴィンチが描いた記憶- 」には、ベリーダンサー、枢機卿という一般名、それに、名前はあるが「工房の仲間」という登場人物が多く、モヤモヤしました。フィナーレの群舞見てモヤモヤを引っ込める、そういう作品でした。

前提条件がそんな感じ。その上、月組は職人層が厚いので、もう組外に出すしか対処できなかったんじゃないか、と解釈できます。

どの組にも、学年と実力にギャップがあるジェンヌさんがいるものの、月組は風間柚乃氏を筆頭にすごいことになっています。

すごく単純な例で申し訳ないのですが、「1789 -バスティーユの恋人たち-」2015年東京宝塚劇場千秋楽の映像に、ポリニャック役の憧花ゆりの(当時副組長)さまがマリー・アントワネット(愛希れいか)を前に、「フランスに秩序が戻れば帰ってまいります」とセリフを言いながら、ぼろっと一筋の涙をこぼすのが映っています。ポリニャックとアントワネットのやりとりは限定的なのに、舞台裏でちゃんと時間が流れ、いよいよ身の危険がせまってきてフランスを出るという苦渋の感情が表現されているんだなー、としみじみ思いました。これが隅々まで芝居の神経が張り巡らされている月組の真骨頂!とも。

りつこさんとしてヤムナレッスンされている星条海斗(86期)、サロン・ド・コマ主宰の沙央くらま(87期)、凪七瑠海(89期)らの先駆者に続く人材として、同じく月組から異動してもらい、ある程度腰を据えて、ファンのために尽力していただく人事、と解釈して期待しましょう!

おふたりが専科に行くことによって、後進が育つ作用にも期待、です。😉😉😉

異動発表時のポエム↓↓

思わずポエマーに…

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