フランスの作曲家ドーヴ・アチア氏作曲のミュージカルを、宝塚歌劇団が上演し始めたのは2014年でした。記念すべき第一作は2005年の作品だったので、9年経って日本にやってきたわけです。
アチア氏がミュージカルに携わり始めたのが2000年あたり。ご本人にしたら、15年くらい実績を積んだところで宝塚が日本で上演したいと言ってきた、となった感じ。ただ、2014年に日本初演として「太陽王」が上演されてからは、毎年のように上演されました。
宝塚で上演されたアチア作品は制作年順に、
Le Roi Soleil (2005) 太陽王 Mozart, l'opéra rock (2009) ロックオペラモーツァルト 1789: Les Amants de la Bastille (2012) 1789バスティーユの恋人たち La Légende du roi Arthur (2015) アーサー王伝説
制作年から見るとアーサー王伝説は、アチア氏が関わったミュージカルの最高峰と位置付けることが可能です。単純に、年齢と経験が質の向上につながると仮定して、太陽王<ロックミュージカルモーツァルト<1789<アーサー王伝説の順で良くなっていったと言えるから。
宝塚上演の軌跡
順番でいえば、「ロックミュージカルモーツァルト」をもう少し早く上演しても良かったところ、1789とアーサー王伝説の後になっちゃいましたね。
星:「ミュージカル 太陽王 -ル・ロワ・ソレイユ-」2014年東急シアターオーブ 月;「1789 -バスティーユの恋人たち-」2015年大劇場(潤色・演出/小池修一郎) 月:「ミュージカル アーサー王伝説」2016年文京シビックホール/ドラマシティ 星:「ロックオペラモーツァルト」2019年梅田芸術劇場メインホール/Brillia HALL
2019年には、アチア氏書き下ろし「CASANOVA」が花組により上演されたのですが、これは曲だけの参加ということで例外的な作品。歴史もの×曲の使い方で魅せる生田大和先生の作品でした。
ヴェネツィアで展開するストーリーということで、ベニス風?な音楽になっているのですが、お祭りのお囃子に聞こえるようなメロディーもあって、過去作にも見られる特徴ではあるけれど、花組さんの醸し出す世界観とマッチしていたかと言われると、どうでしょう。。。
同年末には、星組さんで、礼真琴&舞空瞳トップコンビプレお披露目として「ロックオペラモーツァルト」を上演。2009年の作品であるため満を持して、なのでしょうが、太陽王もロックオペラモーツァルトも、特殊な環境に生まれ育った歴史上人物の人生をなぞる展開なので、テンポ感に難が。。。どちらも部分的に、曲の雰囲気、歌詞、情景が微妙にズレている箇所があると感じます。
1789とアーサー王伝説には、それぞれ革命の高揚感、ケルト風のメロディーに乗せられた牧歌的なリズム感と、悲しみのなかに明るさがあって親しまれているのではないかと。
フレンチロックミュージカルの良さは、Quelque chose de Magique「♪何か不思議なこと」↓こういうテンポの曲がちりばめられている点だと思うのです。(「ロミオとジュリエット」に「♪世界の王」がなくても困らないけど、あのアップテンポの曲が無かったらちょっと重すぎかも?)
曲の良さに加え、劇場の規模に合わせるという要件が、制約でなく良い方向に作用したのでしょう。
なんせ、オリジナルの規模感ったら、、マーリンやモーガンのダークっぷりを活かすかのようにひたすら壮大!な感じにつくられていた模様。
面白いことに、1789とアーサー王は2年連続の月組作品だったため、アーサー王に出演した月組生は、比較的短い期間のなかで、アチア作品に2つも出演した人々になりました。
NOW ON STAGEでも、愛希嬢が、フランスでグィネヴィアを演じていた人(Camille Lou)は、1789でオランプを演じた人だった、と語っていたのですが、アーサー王のキャストは全員、1789ではxxやったよねー、でも、アーサー王ではなんと〇〇役だ!状態なわけです。
星組さんも似たような状況があります。2014年に東急シアターオーブで上演された、太陽王。柚希礼音、紅ゆずる、真風涼帆、妃海風、綺咲愛里といった主要キャストが安定のパフォーマンスを見せていました。
この作品に出演していた7人のジェンヌさん(万里柚美、輝咲玲央、夢妃杏瑠、漣レイラ、ひろ香祐、音咲いつき、紫藤りゅう)は、2019年のロックオペラモーツァルトにも出演したので、この方々も星組でしか上演していないアチアミュージカル2作品に出演できた方々です!
素敵な王と素敵な家臣の物語
このアチア作一大スペクタクルを、珠城りょう&愛希れいかコンビのプレお披露目用にどう料理するか、、
演出家石田昌也先生は、王の持つ義の心を新トップスターの求心力に重ねて、シンプルに王と家臣の物語に昇華させることに成功したと感じます。 主要登場人物アーサー王×グィネヴィア姫×ランスロット×魔女モーガン×メリアグランスの五つ巴を描こうとすると場面が足りないので。
グィネヴィアとランスロットを追放する結末になっているので、王はそのまま君臨する。これも効いてます。(統治すれど君臨せず♪とありますけど、良い意味で君臨してる)
スカイステージ番組 NOW ON STAGEでも、語られていたのですが、曲がシャッフルされているようで、魔女モーガンが歌う歌(Ce que la vie a fait de moi)を、珠さまに「♪残酷な仕打ち」として歌わせてみたり、王の責務みたいなものにスポットが当てられている潤色になっております。小さくまとめちゃわない工夫のひとつだったのではないでしょうか。
時間をかけてアーサー王、グィネヴィア、ランスロットの関係を描くことはできないぶん、主演の愛希れいか嬢が珠城りょう氏演じる王に、そして朝美絢氏の演じる湖の騎士ランスロットにも落ちるようすが短絡的。それもまた戯曲的で逆に深く感じられるのです。
王と家臣の物語として心を打つ要因に、騎士と侍女が素敵!というのがありますよ。王ももちろん素敵だけれども!騎士や侍女たちの、珠さまの支えぶりがプレお披露目を盛り上げる!
振付けや歌声によって、王が舞台前面でエクスカリバー振り回しているときなどに、家臣は後ろで一生懸命支えている感が見事に表現されています!騎士たちの顔ぶれが最高。月娘の侍女たちが魅せる。
最強の円卓の騎士ですね。アグロヴァル役の貴澄隼人氏は長髪、パーシヴァル役の輝城みつる氏はアイパッチ、英かおと氏はひげ、このあたりのスタイリングの妙味!(Twitter に#推し円卓ってタグがあるくらい)
ガウェイン 紫門ゆりや ウリエン 貴千碧 アグロヴァル 貴澄隼人 パーシヴァル 輝城みつる ブルーノ 優ひかる ガングラン 颯希有翔 アレミラ 蒼矢朋季 ルーカン 蒼瀬侑季 カラドック 蒼真せれん ガレス 紫咲樹れの エクター 英かおと サグラモール 朝陽つばさ ペアレス 新斗希矢
あー美しい。💜💜💜💜💜💜💙💙💙💙🧡🧡🧡


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